着物を着た時に「あれ?」って不思議に思った事ってありませんか?
今日はそんな疑問の中で一番質問として受けることについてお話したいと思います。
着物を着た後姿で真ん中の縫い目(背中心線)が腰から下が真ん中からズレてるって事ありませんか?背中はちゃんと真ん中に縫い目があるから着せ方に問題があるのでは?と思ってしまう方もいるようです。けど、これは着物を着る人の体型、着物の仕立て方・着付け方の特徴によるものなので腰から下の縫い目がズレていたとしても全く問題はないんです。
着物は洋服と違って曲線で切る所が全くありません。全て直線裁ちと言って縦または横にまっすぐ切るだけ、袖の丸みも縫っているだけで、ほどけば全て長方形の布の集まりです。
ではどうやってその人のサイズに合わせて作られているかというと、「縫い代の幅でサイズを調整する」というやり方なんです。しかし洋服のように何センチ刻みでその人に合わせるというようなことはなかなかありません。だから多少身長が違っても・体格が違っても着られるのが着物の良い所でもあるんですよ。
着物を作る時はこのような長い布から各パーツを切り出します。
岩佐和裁さんより画僧を拝借しました。
https://www.iwasa-wasai.com/shakusunbun.html
着物は着方に決まりがあります。まず、襟は必ず左右対称でないといけないので、その為には背中にある縫い目は必ず中心に合わせなければなりません。次に合わせるのが上前といって前からみて一番表側に来る部分の幅合わせと丈合わせで、おくみ線という縫い目を右足外側のくるぶしあたりに合わせます。
この時の上前の合わさり方によって背縫い(背中の縫い目)が中心にくるか少しズレるかという誤差が出るんです。先ほど書いたように、これは全く問題は無く、着る人の腰の張り方・身体の厚み・着付けをする人の補正の入れ方によって変わってきます。
着物の大小には「身丈が大きい(小さい)」と、「身幅が大きい(小さい)」とありますが、今回のお話は「身幅の違い」でお話します。
その人の体格に合わせて作るのは洋服も着物も同じです。しかし、着物のオーダーメイドである「お誂え(おあつらえ)」と行っても数ミリ単位で合わせる訳ではありません。それと、体型が似ていて親子・姉妹で洋服を共有していると言っても十人十色ウエストのくびれ方や腰の張り方が違うので、背縫いがズレるという事があります。
では、着物の身幅が着る人にとって大きい、もしくは小さい場合どんなふうに背縫いがズレるかというと・・・
身幅が大きい場合 : 後ろから見て右側に背縫い線がズレます。
身幅が小さい場合 : 後ろから見て左側に背縫い線がズレます。アンティークの着物等に起こりやすいズレです。昔の反物は今の物より幅が狭かった為に、身長で選ぶと狭いことが多く、同時に裄(袖の長さ)も短くなります。
最近では着物を着る機会が少なくなりいろいろ疑問に思う事が多いかと思いますが、そんな時は呉服屋さんや着付け師にどんどん疑問をぶつけてみてくださいね!
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